チルドの強みを和菓子に生かしたい

生どら焼き つぶあん&ホイップ

※現在商品名や規格が変更されています。

ふんわりとした食感のどら焼き生地に、北海道十勝産小豆を使用したさっぱりとした甘さの粒あんとなめらかな口溶けのホイップクリームで作った『生どら焼き つぶあん&ホイップ』。一般的な常温管理ができる商品とは異なり、“チルド(冷蔵)でおいしく食べられるどら焼き”というコンセプトやスペックにこだわった商品です。

 

今回は『生どら焼き つぶあん&ホイップ』を開発したHさんに商品へのこだわりや思いを聞きました。

チルドでしかできないホイップの追加で常温商品と差別化

――『生どら焼き つぶあん&ホイップ』を開発することになったきっかけを教えてください。

常温のどら焼きはコンビニの定番商品で、昔から店頭に並んでいます。新たなどら焼きの開発では、専門店で食べる焼きたてのどら焼きと比べて、コンビニで提供するうえで何にこだわるかを模索する必要があります。そこで、お客様に味の変化を楽しんでもらいたいという思いから、ホイップを追加してみることになりました。

 

ホイップを入れるのはチルド商品でしかできないことで、差別化のポイントとしてわかりやすいと思い開発を進めました。生地の原料を変えるだけなら、チルド商品でなくてもできるからです。チルドの強みは、新鮮な食材をトッピングできることだといえます。消費期限は常温よりも短くなりますが、その分あんこに保存のための砂糖を多めに入れなくても良くなるので、あんこの甘さを調整できるメリットもあります。

パッケージに記載されない消費者が気づかぬところにこだわりが

――『生どら焼き つぶあん&ホイップ』に込められたHさんのこだわりを教えてください。

この商品のパッケージには、小豆について[北海道十勝産]までしか書いていません。ですが、実は品種まで絞っていて、えりも町という地域の[エリモショウズ]という品種を使っています。

えりも町は寒暖差がすごく大きいので、[エリモショウズ]は特に豆の味が凝縮されてよく引き出されるというデータがあります。私たちが製造しているチルドの和菓子で、そこまで小豆を絞っているのは豆大福と『生どら焼き つぶあん&ホイップ』だけなんです。パッケージに書かれておらず消費者が気づかないような細部まで考えていることが大きなこだわりです。

工場生産の課題をできないままにせず「努力して突き詰める」

――『生どら焼き つぶあん&ホイップ』の開発で苦労したことはありますか?

味や材料の配分などの微調整を納得のいくまで続けることや、コストについても考えなければならないことに苦労しました。私はパティシエの経験がありますが、当時は、原価を気にせず用意した材料でレシピ通りにおいしく作ることを重視していました。現在の商品開発ではコストや工程のことを考えなければなりません。1つのことに集中して取り組むよりも、常に全方向のことに集中しなければならないイメージですね。

 

もちろん製造過程においても、パティシエ時代の個別の店舗ではできたことが、大量生産を目指す工場ではできない面もあります。ただ、できないことをできないままにするのではなく、可能な限りできるように努力して突き詰めることが大事だと感じています。