気候変動による影響

当社グループは、グループの持続的な成長と共に、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、2023年4月に5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。

マテリアリティの一つに「循環型社会への貢献」を定めており、気候変動問題は当社グループの事業活動や社会に重大な影響を及ぼすものであると認識しています。そのため、気候変動がもたらす影響を把握するとともに、その対策を講じることにより、持続的な成長と持続可能な社会の実現に貢献できると考えています。この考えのもと、TCFD(気候関連財務情報タスクフォース)の提言に基づくフレームワークに沿って情報開示を進めています。

指標・目標

当社グループでは気候変動の影響を最小限に抑えるための対策として、温室効果ガスや、産業廃棄物の排出量削減が持続的な事業運営を行う上での重要課題であると認識しています。そのため、2030年度を目標とする以下の削減目標を設定しています。今後はこれらの目標達成に向け、具体的な取り組みを段階的に進めていきます。

2030年度の目標(2018年度比)

カーボンニュートラル実現に向けた取り組み

省エネ 工場の熱、電気、水の利用効率の向上や生産体制の再構築など

創エネ 工場への太陽光発電設備の設置

再エネ 再生エネルギー利用率向上

このほか、プラスチック規制への対策として、廃プラスチック消滅装置を導入し、排出量の削減を推進しています。

※上記は「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および「わらべや日洋食品株式会社」の数値(目標含む)です。

戦略

当社グループでは、気候変動によるリスクおよび機会の特定にあたり、シナリオ分析の手法を通じた評価分析を実施しています。「国際エネルギー機関(IEA)」や「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が公表するシナリオを参考に、「4℃シナリオ」と「1.5℃シナリオ」の2つの将来世界観のもと、定量・定性の両面で影響を評価しています。

想定シナリオ

4℃シナリオ 1.5℃シナリオ

経済活動が優先され、物理的な影響が拡大すると予想される世界観

 

  • 2100年までに世界の平均気温が産業革命期以前と比較して約4℃上昇
  • 政府が気候変動関連の政策や規制には消極的
  • 慢性的な気象変化や異常気象災害などの物理的な影響が拡大

脱炭素社会実現に向けた取り組みが積極的に進められる世界観

 

  • 2100年までに世界の平均気温が産業革命期以前と比較して約1.5℃上昇
  • 脱炭素社会への移行を目指して政府による政策や規制が活発化
  • 政策や規制が強まる一方で、物理的な影響は4℃と比較すると低い

リスク影響分析結果

リスク影響分析結果

項目

当社グループへの影響

時間軸※1

影響度※2

分類

要因

4℃

1.5℃

移行リスク

政策・法規制

カーボンプライシング

事業活動に伴うCO2排出に対して炭素税が課され、操業コストが増加する。また、排出規制に対応するための証書やクレジットの購入コストが増加する。

中期~

再エネ/省エネ政策

再エネ使用の増加や省エネ設備機器への更新に伴い、環境配慮への投資が拡大する。

短期~中期

プラスチック規制の強化

石油由来のプラスチック容器包装に対して規制が敷かれ、包材の購入コストや処理コストが増加する。

短期~中期

市場

エネルギーコストの変化

再エネ電力使用割合の高まりによる電力価格の高騰や、化石燃料需要の変化に伴う価格高騰により、操業コストが増加する。

中期~長期

物理リスク

急性

異常気象の激甚化

本社や工場における直接的な被害や、サプライチェーン寸断による操業停止損失が生じる。

短期~長期

農作物が直接的な被害に遭い、調達コストが増加する。

短期~長期

慢性

平均気温上昇

主要な原材料である米は収量が増加するものの品質が低下し、海苔は収量が減少することにより、調達コストが増加する。

中期~長期

※1 時間軸の定義 

短期:0~3年、中期:2030年前後、長期:2050年前後

※2 影響度の評価基準  

 大:5億円以上、中:2億円~5億円、小:2億円未満

シナリオ分析

<4℃シナリオ分析>

4℃シナリオでは、平均気温上昇がもたらす主要な原材料の生育不良による価格上昇が、長期的に重大な財務的影響となる可能性があります。また、当社グループの一部工場では、主に台風や豪雨災害による洪水によって被害を受ける可能性があり、今後こうした異常気象の激甚化と頻発化により、保有する資産の被害や一時的な操業停止による損失が発生・拡大することが想定されます。他にも、異常気象の激甚化は原材料の生産地が被害に見舞われることで、調達コストの高騰を引き起こす可能性があります。

 

<1.5℃シナリオ分析>

1.5℃シナリオでは、炭素税の導入による追加的コストの発生が、重大な財務的影響となる可能性があります。また、炭素税導入への対応や再エネ・省エネに関する政策の強化への対応として、再生可能エネルギーの導入や省エネ性能の高い設備への更新が考えられますが、それらの対応にはエネルギーコストおよび設備投資コストの増大が懸念されます。他にも、製品の容器包装にプラスチックを使用しているため、石油由来のプラスチック使用に対する規制の強化は包材の購入コストが増大する可能性があります。

 

 

気候変動によって引き起こされる被害に向けては、シミュレーションを行い、被害を最小とする対策や生産体制を構築していきます。また、気候変動の影響を大きく受ける原材料については代替品や代替の産地について調査検討していきます。

なお、今回の分析にあたっては持株会社である「わらべや日洋ホールディングス株式会社」および食品関連事業を行う「わらべや日洋食品株式会社」の2社を対象としておりますが、順次対象範囲を拡大していく予定です。

ガバナンス

当社グループでは、グループとして気候変動を含むサステナビリティ課題に対する取り組みを推進するため、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しています。

本委員会は年4回開催し、サステナビリティを巡る各種議論を行い、サステナビリティに関する各種方針や目標、施策などを決定しています。このうち気候変動に関しては、シナリオ分析を通じたリスクや機会の分析、CO2排出量や産業廃棄物排出量削減目標の設定、およびこれら目標の達成に向けた施策の検討、進捗管理などを行っています。本委員会における審議・決定内容は、開催の都度取締役会へ報告されます。

取締役会は、気候変動をはじめサステナビリティに関する重要事項の決定を行い、サステナビリティ全体を監督しています。

リスク管理

サステナビリティ委員会は、当社グループに関するシナリオ分析を通じた気候変動リスクの特定・評価を行い、リスク低減の施策を検討・推進しています。

グループ全体のリスク管理を行っているリスクマネジメント委員会は、サステナビリティ委員会から気候変動リスクに関して共有を受け、全社的なリスク管理に組み込んでいます。

また、取締役会はサステナビリティ委員会から気候変動リスクに対する分析結果やリスク低減を図る施策、その進捗状況について報告を受け、リスク管理が適切に行われているか監督しています。